1584 Thesaurus linguae 本物 Roman & Britannicae シェイクスピアも利用 クーパーのラテン語辞典 羅英辞典 超稀覯本 大型総革 東大のみ所蔵
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「言語文化の会」の幹事です。会がこれまで研究用として収集してきました書籍、辞書、文房具などをすべて処分したいと考えております。かなり古いもの、貴重なもの、入手しにくいものも含まれております。これらを手頃な価格でご提供したいと思っておりますので、ご期待ください。なお、すべて売り切りたいと考えておりますので、時には値下げも行いますので、現在の価格に注意していただけると幸いです。 ◎ 出品のもの (大きさや色については写真をご覧ください) 本辞書が出版されたのは、日本に置き換えると織田信長の時代です。和本しか見たことのない当時の日本人が、もしこの辞書を見たら驚愕するにちがいありません。それほど立派な総革の装丁の辞書です。大きさの概寸は、縦33センチ、横22センチ、厚さ9センチです。何百年も前の辞書ですから、装丁の革には破れなどあります。これくらい古いと、改装の場合も多いのですが、これは元々の革だと分かります。 そもそも、ヨーロッパ世界において辞書とはいかに誕生したのでしょう。辞書が誕生する前に、当然のことながら印刷術が成立していなければなりません。皆さんよくご存じのグーテンベルグの存在が欠かせないのです。彼は1440年頃にヨーロッパで初めて活字による印刷を行っています。辞書の歴史は、この後に来ることになります。 我々日本人は、一言語辞典(例えば、英英辞典)が二言語辞典(例えば、英和辞典)に先行するように思いがちです。そうではありません。世界的には、二言語辞典が先行することのほうが多いようです。イギリスにおいても、そのことはあてはまります。二か国語辞典が初めに誕生しました。ラテン語・英語辞典です。それは、日本において最初に漢語(漢字)・日本語辞典が誕生した歴史に酷似しています。当時の漢語(漢字)も、一種の学問語でした。ラテン語も学問語です。 中世のヨーロッパにおいてラテン語は広く学ばれました。イギリスにおける学習者たちや学者は、この時代から簡易な語彙表を作っていました。専門のラテン語と英語との語彙表や単語帳です。15世紀におけるこの伝統や歴史が集成され、グーテンベルグの印刷術が融合されて、16世紀になり本格的なラテン語・英語辞典(羅英辞典)が誕生することになります。 その最も古いものが、syr Thomas Eliot knyght の辞書 (1538) です。これ以外にも、16世紀には4種類ほどの羅英辞典が出版されました。ただし、これほど大型の辞書は、これがほぼ嚆矢といえるでしょう。時代的には、丁度シェイクスピアの時代と重なります。 ついでに、イギリスにおける英英辞典の歴史も少し見ましょう。最初の辞書は Robert Cawdrey が1604年に編纂したTable Alphabeticall となっています。この辞書を日本人が見たら、驚くでしょう。私はこれを大英図書館で見ました。日本人からすると、これは辞書ではありません。単なる単語帳です。赤尾の豆単以下です。Table Alphabeticallの意味は「アルファベット順に並べた(語彙」表」です。中をよく見ると、見出し語として掲げられている語彙のほとんどがギリシャ語やラテン語由来の比較的難しい単語ばかりです。英英辞典の形はとっているものの、実質は二か国語辞典に近いといえます。 さて、出品の辞書について見てみましょう。書名は次の通りです。シソーラスとは辞書のことです。Thesaurus linguae Roman & Britannicae: tam accurate congestus, ut nihil pene in eo desiderari possit, quod vel Latine complectatur amplissimus Stephani Thesaurus, vel Anglice, toties aucta Eliot Bibliotheca ... Accessit dictionarium historicum & poeticum, etc. Published in London, 1584. 本辞書の初版は1565になります。その後の版は、1573, 1578, 1584に出版されました。ということは、出品の辞書はほぼ最終版ということになります。 編纂者は COOPER, THOMAS (c.1517-1594)という人です。この人物については、かなり多くのことがわかていますので、以下に記します。編纂者のクーパーは、マグダレン大学の校長だった時期に、他の辞書編集者の仕事、特にトマス・エリオット卿とロベール・エティエンヌの辞書を大いに利用して、このとても重要な羅英辞典を編纂しました。1565年に最初に出版されました。辞書の本体に追加する形で歴史的詩的な辞書も付いています。本辞書は時を置かずして標準的な参考文献となりました。おそらくシェイクスピアや他のエリザベス朝の詩人や劇作家によっても利用されたことでしょう。エリザベス女王はこの辞書の完成にとても喜んで、彼女は編纂者クーパーの学問的功績がますます上がる助力をすることを約束しました。クーパーはその後、出世して、1567年にオックスフォードのクライストチャーチの学部長、1569年にグロスターの学部長、1571年にリンカーンの司教、1584年にウィンチェスターの司教に任命されました。 では、この稀覯本は日本の大学図書館に所蔵されているのでしょうか。いろいろ調べるのですが、なかなか見つかりません。でも、やっと1冊だけ見つかりました。東京大学の付属図書館です。やはり、東大です。しかし、これ以外の大学にはなさそうです。例えば、東京外国語大学などには、あってしかるべき辞書ではないでしょうか。もちろん、本場の大英図書館にはあります。5冊あります。1565, 1720, 1584, 1587, 1565年版です。 世界的に有名な古本のサイト(Abebooks)に入ってみましょう。ありました。 ・1565年の初版本、表紙の革はボロボロ、約25万円 ・1573年の第2版、まあまあの状態、約30万円 このサイトから分かることは、この辞書は大部な辞書ですが、版を重ねたことからも察しがつくように、全体としてはかなりの数の本辞書が出版され、現在も残っているということです。その意味では、世界的に入手できないということではありません。 しかし、私はこの辞書を最初に手に入れたとき、こころが踊ると同時に手が震えました。日本でいえば織田信長の時代の、英国でいえばシェイクスピアの時代の辞書が自分の目の前にあるのです。そして、愛知県の片田舎に住む私のような人間が所有していいのかとさえ思ったのです。 ◎ 出品のものの状態は A です。(下の基準をご覧ください) S 新品に近い、程度のかなり良いもの A 程度の良いもの、貴重なもの B 多少問題はあるが入手しにくいもの(問題点や難点を記述する) C まあまあの状態のもの(問題点や難点はあるが、特に記述しない) D 利用可能なもの(難点は記述しない) ◎ 特徴や難点など ・大きさの概寸は、縦33センチ、横22センチ、厚さ9センチです。 ・外は元々の装丁のままですから、状態はよくありません。中は良い状態で、最後の頁もあります。 ・シェイクスピアも、この辞書を利用したといわれています。 ・見出し語がラテン語で、定義や解説が英語です。大型の羅英辞書としては、これがほぼ最初だと思います。初版は1565年。 ◎ その他(必ずお読みください) ・すべて品ですので、ノークレーム、ノーリターンでお願いします。 ・セットで販売のものは、小分けできませんので、ご了承ください。 ・発送につきましては、小型のものは日本郵便でお送りします。また、大型(セットもの)はクロネコヤマトの着払いにて発送する予定ですので、荷物を受け取る際に送料をお支払いください。・送料には、梱包料も含まれます。 ・梱包のための資材には、エコのため、段ボールなどを再利用致します。是非、ご理解お願い申し上げます。 ・領収書につきましては、「言語文化の会 愛川今生」として出すことはできます。落札時に、ご連絡いただけると幸いです。 ・出品の書籍などに関して、細部の状態や版などのお尋ねにはお答えできかねます。ご了承ください。 ・この辞書につきましては、細部や状態について、気軽にご質問ください。よろしくお願い申し上げます。 本商品はとても高価なものですので、連絡を取り合いながら購入していただけたらと思っています。そのため、本会での購入が初回の方は、安価なものを落札いただき、その取引連絡ナビを利用したいと考えております。よろしくお願い申し上げます。